ケルダール分解装置用中和装置
SMS/JPスクラバーシステム
左から 電動アスピレーターJP、酸性ガス中和装置スクラバーSMS、オートリフト分解装置DKL12
装置概要
ケルダールの前処理分解時には亜硫酸ガスが発生します。そのままドラフトなどで吸引すると、ドラフトや分解装置の寿命を縮めるだけでなくオペレーターの健康にも影響を及ぼします。
SMS/JPスクラバーシステムは亜硫酸ガスを吸引、コンデンサー内で冷却し、第一槽の樹脂製ボトルに液体として回収します。液化しきれなかった亜硫酸ガスは第二槽ボトル内のアルカリ溶液で中和し、有害な排気を放出するのを防ぎます。
しかし、亜硫酸ガスは全量吸引、処理をすればよいというものではありません。分解中にケルダールチューブ内にほどよくあることで乾固を防ぎます。吸引加減を上手に管理することが重要です。
VELP社のケルダール分解装置用中和装置は、SMSスクラバー(酸性ガス中和装置)とJPアスピレーター(電動循環式水流ポンプ)で構成されています。それぞれを独立させることで故障のリスクを減らし、更新検討の際にも価格を抑えることができます。
SMSスクラバーしくみ

・SMSスクラバーにJPアスピレーターを接続し、ガスを吸引します。
・SMSスクラバーに冷却⽔(⽔道⽔)を接続し、ガスを冷却します。
1
吸引されたガスは最初に冷却管を通り冷却され、液化します。
2
液化したガスはボトル1に溜まります。
3
液化しきれなかったガスはボトル2にまわります。
4
ボトル2に⼊れてあるアルカリにより酸性ガスが中和されます。
大量に発生するガスを冷却することにより小さなボトル瓶(1L、2L)で回収することができます。
(従来:10L、20Lのトラップ瓶)
「吸引加減を上手に管理する」とは?
JPアスピレーターは引き加減の調整をすることができます。
ケルダール分解では、最初に亜硫酸ガスが大量に発生し、その後少なくなります。もし引き加減の調整ができず、一定の吸引力であった場合、弱ければ最初のガスが処理しきれず漏れ、強ければ後半にサンプルが乾固してしまいます。
亜硫酸ガスの発生量に合わせた調整をし、ケルダールチューブ内にガスがある程度残っていることが重要です。蒸発した液体がまた内壁を伝わって降りてくるような循環をし、分解によい状態を保ちます。
JPアスピレーターは2種類の吸引モードを搭載しています。
①ガスの出方に応じて引く力を可変する「手動モード」
②最初の約10分間は強めに引き、その後は極小さい力で引っ張る「自動モード」
必要な設備
・給排水設備
冷却水として使用するため、SMSスクラバーにつなぎます。
仕様
型式 |
酸性ガス中和装置 SMS |
電動アスピレーター JP |
---|---|---|
電源・消費電力 | ー | 100V/160W |
重量 | 3.5kg | 8.4kg |
寸法(WxHx D)mm | 300×500×190 | 250×400×370 |
外観、仕様等は予告なしに変更される場合があります。
製造元:Velp Scientifica srl
消耗品
型番 | 品名 |
---|---|
V10000035 | SMSスクラバー用ボトル(1L)硫酸回収用 |
V10000036 | SMSスクラバー用ボトル(2L)アルカリ用 |
よくある質問
SMSとJPは必ずセットで使用するものでしょうか。
SMS/JPは完全分離型となっているため、水流アスピレーター+SMSスクラバー、JPアスピレーター+ドラフトでのガス管理など様々な組み合わせが可能です。いまの設備環境で両方が必要かどうかご相談ください。
SMS/JPはドラフト内に設置するのでしょうか。スペース的に難しいのですが。
SMS/JPはドラフトに入れる必要はありません。
分解装置から引っ張ってきた亜硫酸ガスが漏れる可能性があるとすれば、ケルダールチューブの口に当てている部分、排気装置からです。そのため、分解装置は必ずドラフト内で使用してください。ホースでつないでいるSMS、JPから漏れるということはありません。
導入事例として、移動できる作業台に設置し、分解を行う時にドラフトの側に持っていくという設置の仕方がおすすめです。ドラフトと離れた場所に設置するとホースが長くなりたるんでしまうため、液化したガスがたまって吸引がしにくくなることがあります。できるだけホースが短くて済むように設置するのが望ましいと言えます。
メンテナンスが必要なものでしょうか。
SMSはホースの内部に詰まりができるのを防ぐために定期的にお湯を通すようにしてください。ボトルは陰圧になるため劣化します。へこみが戻らなくなったら交換してください。
JPは水槽の水をまめに交換してください。水槽内でモーターを回して水流を作り、ガスを引く仕組みです。水槽に水が不足していたり、汚れたまま使用しているとモーターが劣化し修理が必要になります。