ケルダール法と燃焼式改良デュマ法のメリット・デメリット
たんぱく質/窒素分析において、公定法として採用されている分析方法は2つあります。 ⻑く公定法として採用されてきたケルダール法に、近年 燃焼式改良デュマ法が加わり、「たんぱく質/窒 素の値」を得る方法は選択できるようになりました。
ケルダール法
ケルダール法とは
たんぱく質/窒素分析において、公定法として採用されている分析方法は2つあります。 ⻑く公定法として採用されてきたケルダール法に、近年 燃焼式改良デュマ法が加わり、「たんぱく質/窒 素の値」を得る方法は選択できるようになりました。
ケルダール分析の流れ
秤量、試薬の添加
加熱分解
蒸留・回収
滴定・計算
昔からある公定法。化学分析なので分析値に対し信頼性はあるが、濃硫酸や⽔酸化ナトリウム等危険な試薬
を使う。分解から蒸留・滴定・計算と⼯程は多いが検体量に合わせた装置のバリエーションが豊富。
ケルダール法のメリット・デメリット
メリット
- 化学分析なので、分析値に対して信頼性があります。
- 装置の組み合わせはユーザーの要望に応じて選べます。予算、検体数、設置環境など。
- 更新検討がしやすい。⻑く分析法とされてきたため、装置の仕様は大きく変わることがありません。
- 蒸留装置はケルダール分析の他、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、アルコール分析にも対応可能です。
- サンプルは個体、液体、粉体など、どういった形状でも対応できます。
デメリット
- 濃硫酸や水酸化ナトリウムなどの危険な試薬を使います
- 保護メガネ、保護手袋などで十分に備えることが必要です。
- ドラフト設備が必要。前処理分解時に亜硫酸ガスが発生します。
- 蒸留時間は5分程度ですが、前処理分解に⻑時間かかることがあります。(サンプルによる)
ケルダール法の対応製品はこちら
全自動蒸留・滴定・計算機能を備わったケルダール装置。1検体あたり約4分で蒸留。徹底した安全性と効率化を実現した高性能モデル。
耐薬品性に優れた総樹脂製ボディを採用したケルダール自動蒸留装置。廉価なスーパーケル129、多機能なスーパーケル139の2タイプ。
DKシリーズは、食品・飼料・農産物・化成品・医薬品・土壌・廃水など各種試料のケルダール分解やその他、分析の前処理用迅速湿式分解装置です。これ一台で各種の湿式分解に対応。
DKLシリーズは、食品・飼料・農産物・化成品・医薬品・土壌・廃水など各種試料のケルダール分解用湿式自動分解装置です。サンプルの加熱分解から冷却までを自動的に行うことができます。
ケルダール分解時に発生する有害な酸性ガスを冷却、中和します。JPアスピレーターと組み合わせることで効果を発揮。有害なガスを外部に放出するのを防ぎます。
燃焼式改良デュマ法の流れ
秤量
燃焼・分離
検出・計算
⾷品表⽰法に伴い新たに追加された分析法。分析結果が出るまでとにかく早く危険な試薬も使⽤しない事
から安全性が⾼い。またドラフト設置等の追加設備が少なく場所も選ばない。
ここまで話せば良い事ばかりだがイニシャルコスト/ランニングコストが⾼い。検体量に合わせたバリエー
ションも少ない。
燃焼式改良デュマ法のメリット・デメリット
メリット
- 分析結果まで、とにかく早い。
- 前処理分解が不要。サンプルをいきなり分析にかけられます。
- 試薬を使わないため、安全性が⾼い分析法です。試薬管理の⼿間もありません。
- ドラフト設備が不要のため、場所を選びません。
- パソコンへ測定データが送られるので、データ管理がしやすい。
デメリット
- イニシャルコスト、ランニングコストが⾼い。
- 測定できるのは全窒素のみ。特定の窒素だけ値を出すということができません。
- サンプルの均⼀化が重要であるため、サンプルによっては粉砕機が必要になります。
- 燃焼のための酸素ガス、キャリアガス(ヘリウムまたはアルゴン)が必要です。
- ガスの供給には変動があり、⼿に⼊らなくなる恐れがあります。
- サンプル量を多くとる場合または液体サンプルの場合、1検体あたりのコストが上がります。